東京の井上です。
パソコンとワープロの関係について、ちょっと説明してみます。
ワープロというのは、文字、絵などを組み合わせて印刷用・配布用の文書を作っ
たり、印刷したりする作業を、簡単に、効率的に行うためにつくられているもの
をさす言葉です。たいていの場合、ワープロでは編集しながら、印刷したときに
紙の上でどうなるかということがわかりやすいように画面上でも紙の上と同じ雰
囲気になるように表示してくれます。
ワープロはパソコンの上で使うソフト(Wordとか一太郎とか)だったり、ワープロ
にだけ使えるいわゆる「ワープロ専用機」と呼ばれる電化製品(文豪とか書院と
かルポとか)だったりします。
ワープロ専用機は、たいていは、画面とキーボードとディスクドライブと、それ
に印刷用のプリンタと、そして、ワープロ専用のプログラムが入ったパソコンの
縮小版みたいなのが内蔵されています。
パソコンは、キーボードや画面、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、い
ろいろな端子、内部にはCPUやメモリー、それらをまとめて制御するためのたく
さんの部品、それにファンなどが入った電化製品です。
ここまではだいたいのパソコンが同じです。細かくいうと、DOS/V系とかPC98と
かMACだとか、メーカーによっていろいろありますが、今はDOS/Vというタイプが
主流になっています。
本当はこれだけあってもなにもできなくて、OSとか基本ソフトと呼ばれるもの
(DOS/VではWindowsが一番有名ですね。)をインストールすると、電源を入れたと
きにがらがらと起動して「Windowsを起動しています」なんて文字がでたり、デ
スクトップやスタートメニューが表示されたり、短い音楽がなったりします。
それに、メモ帳で簡単な文書編集ができたりします。最近はインターネットに接
続してメールしたりするソフトも入っています。
最近売られているパソコンは、自作でもしないかぎり、ここまでは最初からでき
ています。
そして、この「基本ソフト」の「Windows」が入った「パソコン」があると、
Windowsの手を借りてワープロの機能を果たすためのソフトであるワープロソフ
トが使えたりします。Windowsの機能を拡張して、声がでるようにして視覚障害
者でも使えるようにしてくれるソフトが使えたりします。
私たちの多くが今使っているのはパソコンで、必要な人はWordとか一太郎とか、
パソコンとWindowsの力を借りてワープロの機能を果たすものを使っています。
さて、なんとなくそれぞれがどういうものか分かっていただけたでしょうか。
いくつかの点で比較してみます。
・準備する(買う)必要があるもの: ワープロ(専用機)はそれを買えば編集から
印刷まで全部できます。パソコンは「電化製品」の部分と基本ソフトと、ワープ
ロソフトを買わないと編集したり印刷したりできません。でも最近はパソコンを
買うと基本ソフトも全部ついてくるのが普通です。プリンタはついてきませんね。
・できること: ワープロ専用機は文章を編集して保存して印刷するくらいのこと
しかできません。パソコンとプリンタと基本ソフトとワープロソフトを持ってい
れば、ワープロ専用機と同じことができます。さらにパソコンだと、視覚障害者
のために声を出して操作をガイドしてくれるソフトを入れたり、宛名を印刷する
のにワープロより使いやすいソフト(宛名職人とか?)を入れたり、インターネッ
トにアクセスしたり、メールを送ったり、ゲームをしたりできます。
・視覚障害者が使えるか: ワープロ専用機で視覚障害者が音声などで使えるもの
はたぶんなかったと思います。パソコンでワープロの機能を使うことができるよ
うになって、やっと視覚障害者もワープロを使うことができるようになりました。
・歴史: おそらく20年くらい前からワープロ専用機はありました。そのころは
とても高かったのですが、ガリ版とかに比べると書き間違えたときの悲しみが少
ないとか、感じをよく知らなくても文章が書けるとかで、使う人がだんだん増え
ました。そのころのパソコンはゲームに使ったり少数の人たちがプログラムを作っ
て遊んだりするのに使われていました。パソコンで動くワープロソフトもでてき
ましたが、長い間、印刷のきれいさとか使いやすさという点でワープロ専用機に
勝てませんでした。パソコンで動くワープロソフトがワープロ専用機の機能を追
い越したのはWindowsが開発されたりした時代で、意外と遅かったはずです。
時代はすすみ、パソコンでもワープロが使えるようになり、ワープロ専用機はそ
れしかできないためにあまりおとくでない感じがでてきました。一時期はワープ
ロ専用機にもインターネットに接続できる機能が付いたり、機能を拡張できたり、
だんだんパソコンに近いものになって行きました。一部のメーカーではワープロ
とは言っても実は中身はパソコンというものも売られていたようです。
最近ではワープロ専用機をつくっている会社もめっきり少なくなりました。
わが家の父も、ワープロを買い換えるにあたって、とうとうあきらめてパソコン
を買いました。ワープロソフトとキーボード練習ソフトしか使っていないと予想
されますが。
という感じで、長々と書きました。
ともかく、視覚障害者のワープロ利用はパソコンと一緒に育ってきた感がありま
す。
補足ですが、
パソコン=パーソナルコンピュータで、個人でも使えるくらいに安くうられるコ
ンピュータ。
ワープロ=ワードプロセッサ
です。
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Koichi Inoue, ARGV
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